ガーゴイルゲッコーを含むラコダクヤモリなど「壁チョロ」と呼ばれる種類のヤモリや、日本でもみられるニホンヤモリは、ヤモリのイメージでもある ”壁面に貼り付くことができるヤモリの特徴” を持っています。
この壁面への貼り付きを実現させているのは、両手・両足の裏にある「趾下薄板(しかはくばん)」と呼ばれる器官によるもので、今回はこの「趾下薄板(しかはくばん)」について詳しくご紹介します。
「趾下薄板(しかはくばん)」とは
趾下薄板(しかはくばん)とは?
ヤモリの手足の裏にある器官で、この趾下薄板(しかはくばん)の表面はマイクロメートル単位の剛毛から構成され、この剛毛はさらに細かなナノメートル単位の非常に細かな毛の集合体で構成されます。
これらの非常に細かな毛が壁面の凹凸に入り込むことで力が生じ、垂直な壁面などにも容易に貼り付くことができます。
「趾下薄板(しかはくばん)」のチカラ
人の世界でも注目・模倣されるチカラ
吸盤や粘着ではないこの趾下薄板(しかはくばん)のチカラは分子間力の一種で「ファンデルワールス力」と呼ばれます。
生物模倣とも呼ばれる「バイオミメティクス」のひとつとしても注目されており、このチカラを活用したヤモリテープといった商品開発などもなされています。
ガーゴイルゲッコーの「趾下薄板(しかはくばん)」
ガーゴイルゲッコーの趾下薄板(しかはくばん)は小さい
ガーゴイルゲッコーは身体の大きさに対して趾下薄板(しかはくばん)が小さく、壁チョロヤモリの一種ながらも壁に貼り付くことが苦手なヤモリともいわれています。
そういった身体的特徴もあってか、和名「ツノミカドヤモリ」のほか、別名で「ホソユビミカドヤモリ」とも呼ばれています。
我が家のガーゴイルゲッコーをみていても、時折ガラス面からずり落ちてしまう姿など見受けられることもあり「ホソユビミカドヤモリ」の名前を強く実感することもあります。
とはいえ、細かな毛の集合体で構成される趾下薄板(しかはくばん)が、より接する面の多くなるコルク面などではガラス面に比べるとずり落ちることも少ないため、ガーゴイルゲッコーにおいては、ゲージのガラス面にはのぼりやすくするための何か(コルクやバックボードなど)を設置するほうがよいかと思います。
「趾下薄板(しかはくばん)」のまとめ
ガーゴイルゲッコーを飼っていても、おそらく知らない方もいるであろう「趾下薄板(しかはくばん)」。
知らなくても困ることはありませんが、生体の仕組みを知ることで飼育に活かすことができることもあるかと思います。特にガーゴイルゲッコーにおいては、小さな「趾下薄板(しかはくばん)」を念頭においたうえでのゲージレイアウトをするなどしていただけたら、ガーゴイルゲッコーにとってもより心地よい環境になるのではないかと思います。
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